HOME > すべての記事 > 必要書類・書き方について > 書式を知ろう「後遺障害診断書」

書式を知ろう「後遺障害診断書」

交通事故に巻き込まれた場合、実は思いの外手間になってくるのが「申請などの各種事務作業」です。
中には期限があるものもあり、後になって「知らなかった」と嘆いてももう遅い、ということにもなりかねません。

この「書式を知ろう」シリーズでは、交通事故の被害者になってしまった方の「事故発生〜示談」に焦点を絞り、解決までの流れと、各段階で必要になる重要書類について説明します。

交通事故の流れをおさらい

ここでまず、交通事故発生から示談交渉までの簡単な流れを確認しましょう。今回ご紹介するのはこのうち2.の「症状固定」後に取寄せを行う「後遺障害診断書」になります。

【交通事故発生から解決までの流れ】

1.交通事故発生
まずは警察に通報します。その後警察により、実況見分調書が作成されます。
事故が発生した事実を後日警察が証明してくれる書類として、交通事故証明書があります。
2.けがの治療〜症状固定
症状固定とは、これ以上治療を続けても大幅な改善が見込めなくなった段階と指します。症状固定をしたら、事故で負った後遺症に関する診断書を作成してもらいます。
3.保険会社へ損害額等の支払い請求〜示談交渉
後遺障害診断書をもとに、保険会社へ自賠責保険の請求書を行います。
請求した金額が支払われない場合には、示談交渉を行います。

後遺障害診断書とは

交通事故でけがを負った被害者は、加害者に対して治療費や休業損害、入通院慰謝料等を請求することができます。

ただしそれは症状固定するまでの話であり、一定期間の治療でも完治せず、なんらかの後遺障害が残ってしまった場合、今度はその後遺障害の程度に応じた逸失利益や後遺障害慰謝料を被害者に対して請求することになります。
その時その程度を認定する基準になるのが「後遺障害診断書」です。

後遺障害診断書の申請方法

後遺障害診断書は医師に依頼すると作成してもらえます。
治療を継続していく中で症状改善が見込めなくなったら、通院中の病院に作成してもらうことになります。

注意点としては、「整骨院の先生は医師には含まれない」という点です。
交通事故の治療方法の一つとして整骨院を利用される方も多いかと思いますが、整骨院の先生(柔道整復師)は法的には医師ではありませんので、整骨院だけを利用していた場合、後遺障害診断書は作成してもらえません。この点をよく理解した上で利用することが大切です。

後遺障害診断書の作成費用については各病院で異なりますが、一般的には6000円前後と言われています。
この作成費用はひとまず被害者が自己負担で支払うことが多いですが、最終的には保険会社の負担となることがほとんどですので、作成費用の領収証は必ず保管しておくようにしましょう。

後遺障害診断書の記載内容

後遺障害診断書には具体的にどんなことが書かれているのでしょうか。
実は後遺障害診断書の書式は決められた共通の書式があり、その書式に主治医が記入を行う形になります。

後遺障害診断書の書式(PDF形式)

この書式を見て頂くと分かるように、かなり詳細な病状が書かれることになります。そのため、これが後遺障害の等級認定の基本書類となります。

後遺障害診断書内容①基本的な情報


まず、書式の左側の項目から順に見ていきましょう。

①受傷日時
②症状固定日
③当院入院期間/当院通院期間
④傷病名
⑤既存障害
⑥自覚症状

これらのうち特に注目したいのが、②症状固定日、⑥自覚症状です。
「②症状固定日」は、患者本人の認識と違う日や、「不詳」と書かれるケースもあるようです。賠償額に直接影響する項目の一つですので、自身の認識とズレがあったり疑問が残る場合には医師に意図を確認した方がよいでしょう。

また、「⑥自覚症状」については、患者が医師に訴える自覚症状が記載されますが、この時注意すべきは「できるだけわかりやすく事実を詳細まで説明すること」です。

患者さんによっては、「あまり症状がひどいと訴えすぎるのはちょっと・・・」と気を遣って、ありのままの症状を伝えない方もいるそうです。
また、「説明するのが苦手で・・」という方も少なくなく、本当は痛みが定期的に続いているのに、「言葉のあや」で、気づいたら診断書に「痛みは軽減しつつある」などど書かれていたというケースも少なからずあるようです。真実をしっかり伝えておかないと、後々の後遺障害認定時に後悔することにもなりかねませんので、医師に話す内容を事前にまとめてから説明するなど、自身の症状をできるだけ医師に理解してもらうよう努めましょう。

診断書

後遺障害診断書内容②各部位の後遺障害の内容


次に、各部位の後遺障害の内容が書かれる欄です。

①精神、神経の障害・他覚症状および検査結果
②胸腹部臓器、生殖器、泌尿器の障害
③眼球、眼瞼の障害
④聴力と耳介の障害
⑤鼻の障害
⑥そしゃく言語の障害
⑦醜状障害
⑧脊柱の障害:脊柱(背骨)の骨折や脱臼があった場合に記載。
⑨体幹骨の変形:体幹骨が変形して残ってしまった場合に記載。
⑩障害内容の増悪・緩解の見通し

ここからは医学的な記載となります。
そのため「内容はよくわからないけど医師に任せよう」と思いがちですが、分からないことは素直に医師に確認するなど、記載漏れがないか注意することが大切です。

これらのうち特に注目したいのが、①精神、神経の障害・他覚症状および検査結果、⑩障害内容の増悪・緩解の見通しです。

「①精神、神経の障害・他覚症状および検査結果」については、検査結果を記載する項目であり、後遺障害認定において極めて重要な項目です。交通事故の被害者に多い「ムチウチ」などの症状ははこの欄に記載されます。

また、一番最後の欄にわずかにスペースのある「⑩障害内容の増悪・緩解の見通し」という項目ですが、実はこちらも重要な項目です。
この欄には、医師が後遺症について今後の見通しを記載するわけですが、ここに「今後症状が改善していく可能性がある」といったニュアンスの一文が入るだけで、最悪、後遺障害に認定されない可能性が出てきます。

もちろん診断や患者への問診が十分行われた結果、その判断に至ったのであれば仕方ないのですが、上で書いたように患者の症状がうまく伝わっておらず、診断書に正しく反映されなかったケースも少なからずあるようです。

なお、「⑦醜状障害」は見慣れない言葉かと思いますが、これは傷跡に関する後遺障害のことを指します。
傷病が治っても、その後顔や腕など目立つ部分に傷跡が残ってしまった、といった場合も後遺障害認定の対象となります。

後遺障害診断書作成の注意点

後遺障害診断書の作成にあたっては、「診断書を作成する医師があなたに有利な診断書を書いてくれるとは限らない」ことを常に意識することが大切です。

医師は医学のプロではありますが、診断書を作成するプロではありません。
したがって診断書作成にあたっては、どこの部位にどういった症状が発生しているのかを漏れ無く伝え、診断書にその内容がちゃんと反映されているかを確認する必要があります。

また、万が一記入漏れがある場合は、その旨を再度伝えて追記してもらうことも大切です。
「お世話になっているお医者様に言いづらい」とためらう方もいるかもしれませんが、ここでちゃんとした事実に沿った診断書を作成しておかないと、保険会社に提出した際に適切な後遺障害認定がされず、大きな損害に繋がる可能性もあります。
そのため後遺障害診断書の作成にあたっては、妥協せず、もし不明点があれば医師に伝えたり、交通事故に強い弁護士に相談するのも一案でしょう。

\ 交通事故に強い弁護士はこちら /

「必要書類・書き方について」関連記事

交通事故被害の不安を解決したいなら

弁護士法人・響

相談実績は月間1000件以上!

  • 安心の全国対応!

    相談・依頼は全国対応!出張面談も可能です。

  • 弁護士費用特約で無料!

    加入している保険に弁護士費用特約がついていれば、300万円程度まで実質的な負担がありません。

  • 「裁判所基準」で慰謝料請求&増額交渉!

    任意保険基準ではなく裁判所基準で交渉してくれるため、正当な保障と慰謝料を受け取ることが可能です。