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書式を知ろう「示談書」<基本編>

交通事故に巻き込まれた場合、実は思いの外手間になってくるのが「申請などの各種事務作業」です。
中には期限があるものもあり、後になって「知らなかった」と嘆いてももう遅い、ということにもなりかねません。

この「書式を知ろう」シリーズでは、交通事故の被害者になってしまった方の「事故発生〜示談」に焦点を絞り、解決までの流れと、各段階で必要になる重要書類について説明します。

交通事故の流れをおさらい

ここでまず、交通事故発生から示談交渉までの簡単な流れを確認しましょう。今回ご紹介するのはこのうち3.の「示談交渉」に必要になる「示談書」のお話になります。

【交通事故発生から解決までの流れ】

1.交通事故発生
まずは警察に通報します。その後警察により、実況見分調書が作成されます。
事故が発生した事実を後日警察が証明してくれる書類として、交通事故証明書があります。
2.けがの治療〜症状固定
症状固定とは、これ以上治療を続けても大幅な改善が見込めなくなった段階と指します。症状固定をしたら、事故で負った後遺症に関する診断書を作成してもらいます。
3.保険会社へ損害額等の支払い請求〜示談交渉
後遺障害診断書をもとに、保険会社へ自賠責保険の請求書を行います。
請求した金額が支払われない場合には、示談交渉を行います。

示談書とは

「示談書」とは、当事者が話し合いにより決めた合意内容を記した書面で、「契約書」の一種です。

交通事故発生から解決までにはさまざまな書類を作成しますが、その中でも特に法的に重要な書類であり、一言一句の違いが後々大きな意味合いをもってくる可能性があります。
通常は被害者の症状固定後のタイミングで作成されます。

示談書は、あくまで任意の話し合いで決着が付けられる場合に作成する書類です。話し合いで和解内容に折り合いがつかない場合には無理に署名押印する必要はありません。

その場合、調停や裁判といった次の手続きに進むことになりますが、とはいえ、納得いかない示談書になんとなく署名押印してしまうと、後から異議を唱えても簡単にひっくり返すことはできず、結果的に損することになりますので注意が必要です。

示談の進め方と「時効」

交通事故の被害者が示談交渉を行う場合、多くは加害者本人ではなく、加害者が加入している保険会社の示談担当者と交渉を行います。
被害者側も、過失割合がゼロでない場合で自身が保険に加入している場合は、保険会社の担当者が代理人となることもあります。もちろん、弁護士に依頼し、代わりに交渉してもらうことも可能です。
ただ、自分で交渉する場合も、代理人が交渉する場合も、示談書の内容について事前に知識を持っておくことが大切です。

また、示談にあたっては、時効に注意しながら進める必要があります。
一つ目は、自賠責保険の保険金請求の時効で、法律で事故の翌日から2年という時効が決められています。
二つ目は、示談自体の時効です。損害賠償請求権を行使するための時効は、民法上、事故を起こした日から起算して3年と定められていますので、これらの時効に注意しながら交渉を進める必要があります。

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示談書作成の心構え

さて、いよいよ「示談書」の中身です。

示談書には決まったフォーマットはありませんが、記載される基本事項はおおよそ決まっています。
流れとしては、①示談書の冒頭でどの事故に関する示談なのかを特定し、②今回の示談で決定した内容を記載し、③示談が成立した旨を記載する、という形が一般的です。

②の内容の重要性については言うまでもありませんが、意外とおろそかにできないのが①です。
示談書を含めたあらゆる契約書は、読み手の読み方によって複数の意味を持たれないよう、できるだけ事項を特定して記載するのが基本です。これは新たな紛争が起きないようにするためです。

何通りの意味にも取れる契約書だと、「私は今月中に100万円を支払ってもらえると思っていたのに」「俺は来月50万円支払えば済むと思っていた」なんていう新たな争いに発展することになってしまいます。
示談書は、それだけ厳格性が求められる書類であることをまず意識しましょう。

示談書の記載事項

最低限記載すべき内容として、主に次のようなものがあります。

① 当事者の特定
被害者、加害者双方、住所・氏名を記載します。
② 事故の特定
交通事故証明書などを参考に、事故が発生した場所を都道府県から記載します。
③ 関係車両の特定
車のナンバー、車種、車の持ち主などを正確に記載します。
④ 被害状況
「◯◯交差点で車が衝突した」といった簡単な記載ではなく、車や歩行者の進行方向、信号の有無なども記載し、事故が発生した瞬間が詳細まで分かるような内容にします。
⑤ 示談内容(いつまでに、いくら払うか)
金銭の支払いに関する内容が記載されますが、ポイントとしては「お金の性質」を特定することです。
例えば、「AはBに対し10万円を支払う」と書くだけでは、それが治療費なのか、慰謝料なのか、損害に対する賠償金なのか分からず、争いの種になる可能性があります。金額の内訳や「〜のお金として」といった記載を入れ、内容を特定するようにします。
⑥ 清算条項
この示談書に定めた内容以外に、被害者・加害者が互いに請求するものがないことを確認する事項です。
つまり、今回の事件を終わらせるための条項なのですが、裏を返せばこの条項を入れることにより、示談書に書かれた以外の内容は一切請求できないという意味にもなります。
⑦ 作成年月日

以上を踏まえて、具体的に示談書を作成すると、次のようになります。
示談書(基本形式)(クリックするとPDFが表示されます)

まとめ

以上の内容が基本的な示談書の形式ですが、被害者が示談書を作成する場合、いくつか内容を追加することで、さらに被害者に有利な示談書を作成することが可能です。
応用編ではそれらの事項について説明します。

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